第20章 天敵
ナミの焦りの声が上がる、眩しいほどの光はやがて収まりその中からルフィの姿が確認出来た。
「ほう、上手く避けた様だな…」
避けた…? エネルの言葉にナミは疑問を浮かべる。確かに無傷のルフィを見る限り攻撃を避けたと考えるのが妥当だろう、だが一直線に向かって来てたルフィが攻撃を避けたとは考え難い。
ルフィが避けたと信じて疑わないエネルは立て続けに攻撃を仕掛ける、だがルフィは傷一つ負わず平然としていた。
その様子を見たナミはもしかしてと合点がいくがエネルは何故だと理解不能らしく目が飛び出るほど驚愕している。
──そう、ルフィに雷は効かない。
ゴムだから。
もしかしたらルフィはエネルにとって世界で唯一の天敵かもしれない…これなら勝てる!
「…いい加減にしろォ!」
幾度と無く無意味な攻撃をしてくるエネルに怒鳴るルフィはふとエネルの小脇に抱えられたユナに気付いた。
「オイお前! おれの仲間を返せ‼︎」
「……これの事か? 残念だがこれはもう私の物だ」
「っふざけんな‼︎ ユナは物じゃねェ! おれの大切な仲間だ‼︎」
そう叫ぶと同時にルフィはエネル向かってパンチを繰り出す、自分に物理攻撃は効かないと避けなかったエネルの顔面にそれは見事クリーンヒットした。
後方へと吹き飛ばされるエネルからルフィは隙を突いてユナを奪い返す。
「ナミ!」
「…!」
「ユナを頼む」
「分かった任せて…!」
ルフィからユナを託され、ナミは邪魔にならぬよう移動する。エネルに向かって駆け出すルフィを尻目にナミはTシャツを脱ぐとそれをユナの左肩へと括り付けた。
出血はほぼ止まってはいるがユナの左肩の傷は酷かった、長い刃物でも突き刺した様な傷は見てるこっちが痛くなる程だ。