第20章 天敵
悪魔の実はホントに相性次第で有利にもなるものだ。
それならルフィに加勢してとっととエネルを倒してしまおう、そう考えユナが立ち上がった時ルフィの叫び声が響いた。
「あ"っぢィ〜〜‼︎」
「青海のゴム人間…何も無理に私がお前と勝負する必要などないのだ…」
エネルは舟の中央に聳え立っていた黄金の一部を能力”パドリング(冶金)”で変形させ、ルフィの右腕に巨大な金塊を取り付けた。
「外せェ‼︎ この野郎‼︎」
「またお前に手を出して…噛み付かれてはかなわんからな、このまま別れようじゃあないか」
エネルはルフィに取り付けた金塊を蹴り飛ばした、舟の外に落ちる金塊の重さにルフィ自身も引っ張られる。
「貴様さえ封じてしまえば……また元通り…私の天下だ‼︎ 私に敵う者など”この世に”いなくなる‼︎」
「この世にだと…⁉︎」
引っ張られる腕を踏ん張りながら耐えるルフィはエネルを睨み付ける。
「そんなもん‼︎ いくらでもいるぞ…‼︎ 下の海には……もっと怪物みてェな奴らがうじゃうじゃいるんだ‼︎ お前なんか──」
「貴様もあの子娘と同じ様な事を言うな…負け犬が何を言おうが所詮負け惜しみに過ぎん」
「おれは神なのだ! 総ての頂点に君臨する‼︎」
「人の命を簡単に奪うお前なんて神じゃねェ‼︎」
ルフィの言葉にエネルはピクリと眉を動かすと徐にルフィに近付く、そして──。
「口の減らん小僧だ…堕ちろ空島と共に…‼︎」
「っお前なんか……‼︎」
『ルフィ‼︎』
「やだ…ルフィ──っ‼︎」
落ちまいと船縁に掴まっていたルフィをエネルが殴り飛ばす。掴むものが無くなったルフィは重力に逆らえず成す術なく落下して行った。
ナミが息を飲む。
ユナは咄嗟に駆け出そうとしたが酷い立ち眩みに襲われその場に手をつく形になってしまった。
「ちょっとユナ大丈夫⁉︎」
『…私は大丈夫、それよりルフィが…っ』
「……あいつは大丈夫よ…これ位の高さなら落ちても死にはしないわ…」
それよりも問題なのは…
頼りのルフィが居なくなり明らかに動揺しているナミだったが努めて平静を装った。
今ここで取り乱しても駄目だ。
ナミがエネルを見据える、それに倣いユナもエネルを見据えた。
問題なのはこいつをこれからどうするかだ。