第20章 天敵
あと3分で予言の3時間が経つ。
「──さて、誰が消えてくれる…そっちで消し合うかそれとも私が手を下そうか…」
問われたゾロ達は互いに顔を見合わせるがそれぞれが拒否の意を示す…そしてエネルを睨み付けると刃を向けた。
「お前が消えろ」
「……不届き」
エネルの顔付きが変わる。一番初めに駆け出したのは空の騎士だ、持っていたランスを振りかざしエネルに迫るがそれは簡単に避けられてしまう。
「1000万2000万…2000万Vヴァーリー(放電)!」
「がァッ……‼︎」
エネルの電撃をくらった空の騎士はその場に崩折れた。ナミが思わず空の騎士の名を呼ぶが返事が返ってくる事はない…余りにも一瞬の出来事にナミ達はその場を動けなかった。
「悪魔の実か…‼︎」
「おそらく…ゴロゴロの実…‼︎ 数ある能力の中でも確かに無敵と謳われてる能力の一つ…雷…‼︎」
「雷…⁉︎ そんなの人間が敵うわけないじゃない…‼︎」
それからは一瞬だった。ワイパーが持っていた海楼石で一度はエネルを倒したが、エネルは自身の心臓に電気ショックを与え自ら蘇生を行なったのだ。
蘇ったエネルに怯む事なくゾロもロビンもワイパーも挑むが結果は惨敗…その場にはもうナミしかいなかった。
蔑む目で三人を一瞥するとエネルは残ったナミをジロリと見下ろす。恐怖で竦みそうになる体を叱咤しゴクリと喉を鳴らすとナミは意を決して口を開いた。
「わ、わたし……私も一緒に行きたいです! あなたの”夢の世界”…! ダメでしょうか…っ」
このまま自分もやられてしまえばユナを助ける者がいなくなる、だからと言って力の無い自分が付いて行ったところで助け出せる可能性はゼロに近い。
それでも僅かな可能性に賭けナミが恐る恐る提案すればエネルはあっさり承諾した。
「初めからそう言えばいいのだ、そうすればこやつらだって無事でいられたものを」
「ほ、ホントにそうですよね〜!」
では行くかとエネルは踵を返す、それに続きナミも後を追う…倒れたゾロ達を一瞥すると後ろ髪を引かれながらもウェイバーを押してその場を後にした。