第20章 天敵
ナミの顔が険しくなる、ゾロも同じ事を考えたのだろう…いつもの険しい顔付きが更に険しくなっていた。
「近くには居なかった…ただ…」
「ただ?」
帽子が落ちてた近くには血痕があった。
ゾロの言葉を受けナミの顔は青くなる、嫌な予感が当たらなければいい…そう思うがゾロの言葉が不安に拍車をかける。
考えても仕方がない、とにかく今はユナの無事を祈るしかない。そう自分に言い聞かせた時ワイパーの声が響いた。
「エネル…‼︎」
その声に全員の視線が集まる。ゾロもワイパーの視線の先を追った…そして気付く、エネルの小脇に無造作に抱えられた人物に。
ゾロは目を見開いた。
「おいてめェ…そいつをどうした…!」
「……‼︎」
「うそ…ユナ…っ⁉︎」
ゾロに続いてロビンとナミもエネルに抱えられた人物に気付く。それはナミ達もよく見知った、今まさに話題になっていた栗色の髪の少女だった。
ただ違うのはその姿はボロボロで、意識を失っているのか力無く垂れ下がった腕には紅い血が伝っていた。
「ん? こいつか? …気に入ったから持っていこうかと思ってな」
まるで物の様に言うエネルにナミは怒りを覚え、ゾロの目つきは鋭くなる…ロビンも険しい顔つきになった。
よく見ればエネルも至る所に傷があるように見える…ユナがやったのか、だが今はそんな事よりユナを助けるのが先決。
──カチャリ
ゾロが刀に手をかける、それをエネルは横目で確認するが興味が無さそうに再び視線を戻した。
「──しばし待て…ゲームはまだ終わってはいないのだ……‼︎」
「ゲームだと⁉︎」
「そうさお前も…その後ろの面々も参加者、…戯れだ他愛もないゲームさ。お前達がこの島に入って3時間が経過した時、82人の内一体何人が無事立っていられるかという”サバイバルゲーム”この私も含めてな」
愉しそうに話すエネルに抱えられたユナの指先からは尚も血が滴り落ちている。
「私の予想は生き残り”5人”…‼︎」
今この場にはゾロとナミとロビン、空の騎士にワイパー…そしてエネル。神官は既に倒されているが6人も残っていては神の”予言”が外れてしまうとエネルは目を鋭くさせる。