第20章 天敵
スカイピアの至る所では逃げ急ぐ人々の困惑の声と緊迫した空気が漂っていた。別の場所でエネルの目的を偶然にも知ったコニスの働きにより、スカイピアの住人は青海への避難を決断したのだ。
エネルは空島を地上に還そうとしている、それは言わば空島を無くすという事。空島に暮らす人々の事など考えず自分だけ空飛ぶ舟に乗り安全に青海へ行くという。
そんな事が許されるはずがない、何が神だ…人の命を何だと思ってるんだ…!
コニスは無力な自分とエネルへの怒りに拳を握り震わした。
神に──いや、エネルに喧嘩を売ったルフィ達を心配しコニスは空を仰ぐ…どうか皆さん無事でいますようにと──。
その頃別の場所ではゾロとロビンが神官とゲリラを相手に対峙していた。とは言えゲリラ──基ワイパーと言う青年はエネルを倒す為にこの場に来たらしく、言わばワイパーの敵はエネルと神官だ。
だが邪魔をするなら排除すると、ワイパーは容赦無くゾロをも攻撃していた。
「…くそっ、埒が明かねェ…!」
ワイパーの攻撃を弾き距離を取ったゾロが目を走らせればふと見知った顔が目に付いた。
「ナミじゃねェか、お前なんでこんなとこにいンだよ!」
船にいるはずの仲間を見つけゾロの眉間のシワが増える。ワイパーはゾロが攻撃して来ないと悟と直ぐさま神官の元へと駆けて行った、それを確認するとゾロはナミに駆け寄る。
「あんた達に伝えに来たのよ! エネルはこの島を…‼︎」
ナミもまたエネルの目的を知り急いでルフィ達に報せようとパガヤに修理して貰ったウェイバーを足にこの場に来たのだと言う。
「あァ? どーいう事だよ…」
「だから──…って、ゾロあんたそれどうしたの?」
急いでこの島を脱出しなければと焦るナミだったが、ふとゾロが手にしてる”物”に気付いて問い掛ければゾロは落ちてたと答えるとそれをナミに手渡した。
「落ちてたってあんた…ユナは? ユナは居なかったの?」
ゾロが手渡してきたのは”オレンジ色の帽子”だった、その帽子はユナがいつも身に付けて大切にしている物だ。落とした事に気付かなかったとは考え難い…嫌な予感がする。