第19章 キミとの約束(後編)
「ユナ──…一つ約束してくれ」
エースは体を離し真っ直ぐにユナを見詰めた。その真剣な眼差しにユナは一瞬ドキリとする。
「…もう二度と、自分を犠牲にする能力は使わないでくれ」
エースの言葉にユナは目を伏せる、それはエドにも言われた言葉だ…言われたがユナはその時首を縦には振らなかった。
『……ごめんなさいエース…その約束は出来ないわ』
「…っ、どーしてもか?」
『えぇ』
ユナは顔を上げると真っ直ぐにエースを見詰め返す。
その場凌ぎで嘘を吐くのも簡単だったが真剣な相手に嘘は吐きたくない、ましてやそれが大切な人なら尚更。
二人の間に沈黙が続く、先に破ったのはエースだった。
「……はぁ〜、だったらしょーがねェ。お前が約束するまでオレはお前とは一緒にいねェ」
『…え……』
「これからは別行動だ、船にいても島に着いても」
『そ、それは…』
「嫌なら約束してくれ、能力は使わないと」
『ず、ズルいわエース…そんな条件…っ』
ユナがどれだけ自分に懐いているのかエース自身も分かっていた、だからこの条件ならユナは首を縦に振ると思った…のだが。
「ユナ」
『──っ、…………努力する』
ユナの返事にエースは肩を竦める、自分もだがユナも中々に強情だ。
「ま、しょーがねェから今はそれで勘弁してやるよ」
困った顔で笑うエースはユナのあたまをポンポンと撫でた。
『むー…これじゃあ不公平だわ、エース…私とも約束して』
少し睨みを利かせて上目遣いで見詰めてくるユナに今度はエースが一瞬ドキリとする。
「な、何をだ?」
『もう二度と…あんな無茶な事はしないで…生身の体で銃弾に突っ込むなんてどうかしてるわ…!』
ましてや自分の為にだなんて…自分の所為で誰かが傷付くのは耐えられない。