第19章 キミとの約束(後編)
勿論そのリスクもあり、代わりにユナ自身の治癒力が著しく低下した…だからユナは今も目を覚まさないでいるのだ。
明日にはこの島を出る、ユナと島を周る約束をしていたがどうやらそれは叶いそうに無い。調達を終えたエースはずっと船の中かユナの側にいたがユナが起きる気配は無かった。
今は真夜中な事もあり甲板にはエース一人しか居ない、他の仲間はこの島での最後の夜という事もあり大半が島へと出掛けている。エースもそれに誘われたが断った、ユナが起きるまでは側にいてやりたいと思ったからだ。
もう大切な仲間がいなくなるのはゴメンだ…エースは幼き頃の親友を想う。
早く起きろよユナ──…
脳裏に浮かぶのはあの日の出来事、夕陽の朱と違う紅に染まりぐったり倒れるユナの姿──。
早くいつものユナの笑顔が見たい──夜風が頬を撫で帽子を揺らした……その時。
ギィと遠慮がちに扉が開く音がした。徐に音のした方へと振り向くとエースは目を見開いた。
「──っユナ…!」
『あ、エース…良かったいた…』
そこには扉に寄り掛かり両手で体を支えながら立っているユナの姿があった、エースは急いでユナの元へと駆け寄る。
「…っなに出歩いてんだよ‼︎」
──違う
「まだ安静にしてなきゃダメだろ!」
こんな事を言いたいんじゃない──
『…私ならもう大丈夫よ、それよりエースは大丈──っ!』
ユナの視界が遮られる──、一瞬何が起こったのか分からなかった…だってエースが自分を抱き寄せるなんて事今迄無かったのだから。
ユナの肩に顔を埋めるようにして抱くエースの肩は震えてる様に感じた。
『…エース……?』
「……親父から聞いた…」
『…! ……そう』
エースの一言でユナは全てを察した、いつかはバレるだろうと思っていたがまさかこんな早くにバレるとは…。まぁエドの言い付けを先に破ったのは自分だ…仕方ないか。