第19章 キミとの約束(後編)
親父はああ言ったがもっと上手く立ち回れたんじゃないかとマルコは月明かりが射し込む通路を歩きながら独り耽ける。
暫く歩き、とある部屋前に辿り着くとマルコは徐にその扉を開けた…中にいたのはベッドに座るエースが一人。
「…なんだ起きてたのかよい」
「……マルコ………そうだ!」
起きたところだったのか、初めはぼーっとしていたエースだったがマルコの姿を確認するとベッドから飛び降り駆け寄った。
「なァあれからどーなったんだ⁉︎ ユナは! ユナは無事なのか⁉︎」
「落ち着けエース、ユナは別の部屋だ…会ってこい……そこに親父もいるよい」
「…親父が……?」
マルコに聞きたい事はあったがこのタイミングで親父が待っていると言う事は何か大事な話なのだろうか、エースはマルコに言われた部屋へと足を運んだ。
部屋の前まで来たエースはドアをノックすると扉を開いた…そこで目にしたのは月明かりが射し込む薄暗い部屋の中、呼吸器を付けベッドで眠るユナの姿だった。
その傍には点滴と一定リズムで心音を伝える機械…ユナの状態にエースは言葉を失った。
「…来たか息子よ」
その場から動けずにいたエースはその声で我に返ると声の主の方へと振り向く。
「…親父……」
「エース…おめェに話ておく事がある」
ユナを見詰めながら静かに言う白ひげにエースは一抹の不安を感じる。もしかしてユナの状態は良くないのか…何とも言えない緊張が走る。
「心配すンな…こいつは大丈夫だァ……だからそんなとこで突っ立ってねェで中ァ入れ」
エースの心情を察した白ひげはチラリとエースを見やる。言われたエースは促されるまま白ひげの元へと近付いた。
「親父…話って…」
エースの問いに白ひげはユナを見詰めながら目を細めた…それはまるで昔を懐かしむかのように。エースも自然とユナに視線を移す。