第19章 キミとの約束(後編)
ならば今すべき事は倒れた男の安否の確認。それは決して男が心配だったからでは無い、”ユナの攻撃”で死なれては困るからだ。
男の安否を確認したマルコは男が生きてる事に取りあえず安堵する…だがそれもつかの間、二人の方を振り向けばエースの傍で蹲っているユナの姿が目に入った。
明らかに”何か”をしている──。
「──っやめるよいユナ‼︎」
マルコは急いでユナをエースから引き剥がした。突然の事に一瞬驚いたユナだったがマルコだと分かると直ぐに何時もの調子に戻る。
しかし伊達に長い付き合いはしていない、明らかに疲弊しきっているユナにマルコは眉を寄せるとエースを一瞥する…横たわるエースの傷は殆ど治りかけていた。
それを見たマルコは内心驚いた、白ひげからユナの能力について多少は聞いていたがそれを目の当たりにするのは今回が初めてだったのだ。
「ユナ……”能力”は使うなと親父に言われてるはずだよい」
言われて目を見開くユナを尻目にマルコはエースを担ぐともう片方の腕にユナを座らす形で抱え上げた。
初めこそは抵抗したユナだったが、少しキツく言えば大人しくなった。既に限界だったのだろう然程時間も経たない内にユナはマルコに体を預けて意識を手放した。
苦しそうに呼吸を繰り返すユナを横目にマルコは船に急ぐ。出来れば二人の手枷を外してやりたかったがエースが傷を負ってることを考えると手枷は恐らく海楼石…能力者である自分にはどうする事も出来ない。
自分の不甲斐なさと遣る瀬無さにマルコは舌打ちするのだった。
「──オレが知ってるのは以上だよい」
「……そうか、世話ァかけたなマルコ」
「いや……オレは何も出来なかったよい」
「そんな事はねェちゃんと二人は無事だった、おめェのおかげだァ礼を言う」
モビー・ディック号に戻ったマルコはユナ達をナースに預けると、事の経緯を白ひげに報告した。