第18章 キミとの約束(前編)
『エース達は何の担当になったの?』
「今回は野菜の調達だな」
エースが手に持っていた紙をヒラヒラさせながら見せればユナはその紙を覗き込んだ、書いてあるのは調達する野菜の種類。
仲間が多い白びけ海賊団は上陸の度に調達物資を隊毎に振り分けている、その中でも食材調達は量が多い為、肉や野菜それに米などに分担されている。
『野菜なんて大変ね』
「まァ仕方ねェさ」
食材の中でも野菜は種類がある為必然的に人手がいる、しかも今回は久々の上陸という事もありその量は普段の倍以上だった。
二番隊の隊長でもあるエースはメモを片手に隊のメンバーに買う物を振り分けてたが少々人手が足りないらしい。
『だったら私も手伝うわ』
どの隊にも属して無いユナは大体いつも人手不足の隊の手伝いをしている、白ひげのクルーでフリーなのはユナくらいだ。
その理由を前に聞いたが本人曰く”居候だから”らしい。後から入った自分にはどういう経緯でユナがこの船に乗ったのかは分からないが、特に気にもならなかったからそれ以上は追求しなかった。
「そうか、そりゃ助かる」
エースがユナの頭をポンポンと撫でればユナは嬉しそうに笑った。
「上陸だァー!」
見張り台から聞こえた声で船は街外れの岸辺へと碇泊した。正面に港もあったが海賊船を馬鹿正直に港に停める奴はいないだろう、それ以前にモビー・ディック号は通常の船より大型の為そんじょそこらの港には入れないのも事実。
船から仲間が次々に島へと上陸する、この島での滞在期間は3日らしい。とっとと用事を済ませれば十分に観光が出来る期間だ。
「さてとまずは腹ごしらえだな」
『…それはいいけどまた食事の途中で寝ないでよね』
「ハハハ、まァそン時はまた起こしてくれよ」
どうやらエースは食事中に寝るという何とも器用な癖を直す気がないらしく、ユナの言葉を軽く受け流しながら船を降りる。
溜息を零し呆れながらもユナも船を降りると二人は街に向けて歩き出した。
──そんな遠ざかって行く二人の姿を白ひげが眺めていると不意に隣に降り立つ気配が一つ。