第18章 キミとの約束(前編)
当時のユナの見た目は12くらいだっただろう…初対面の奴らは何とも思わないだろうが、ユナを久々に見た奴らは”十数年前”とほとんど変わらぬ姿に目を見開いていた。
基本オヤジは女を仲間に入れない。ナースなら話は別だが見た所何処にでもいそうな女…しかもガキ、そんなユナを船に乗せることを反対する奴らはいた。
だが海賊船に乗ってる以上船長の言葉は絶対だ、オヤジの一言で反対してた奴らも渋々納得する。
しかしユナの態度が原因で度々問題が発生した、まぁその大半が元々乗せる事を反対してた奴らが一方的に突っかかってただけなのだが…久々に会ったユナの瞳は暗く、来るもの全てを拒むかのように誰とも口を利かなかったのだ。
それでも徐々に半ば強引に接している内に仲間達と打ち解けユナは明るく笑うようになった、反対してた奴らも今ではユナを認め仲良くしている。
「ほら、とっとと準備しねェともう直ぐ上陸すんぞ」
「…それもそーだな」
物思いに耽っていたサッチはジョズの言葉で我に返ると途中だった準備を再開するのだった。
──その頃、甲板に出たユナは辺りを見渡していた、そしてすぐにオレンジ色のテンガロンハットが目に入ると笑みを零しその帽子目掛けて駆けて行く。
『エースーー!』
「…うおっ!」
突然感じた背後からの衝撃にエースは一瞬驚くが直ぐにそれが何なのか分かると優しい笑みで振り向いた。
「どーしたンだユナ?」
エースの後ろから抱きつく形で体当たりを食らわしたユナはひょっこりとエースを見上げる。
こんな風にこの船でユナが誰かに抱き着くのはエースだけだ、今では当たり前になっている光景だが二人が出会った当初は衝突が絶えなかった。
理由はエースが白びけの首を狙っていたから。勿論白ひげがやられる事は無いと分かっていたが、仲間が狙われてるのを黙って見ていられるほどユナは大人ではない。
毎日毎日二人が暴れるものだから船の修繕も大変だったが当人達は知らないだろう。