第17章 神との対峙
それを見たエネルは目を見開いた。絡繰は簡単だ、気泡を使って雷鳥の軌道を変えただけ…気象を熟知していれば出来ない事はない。
だがしかし雷鳥程の雷の軌道を変えるのは不可能に等しい、見た所小娘の能力は風…一体どう言う事だ──。
『考え事なんて余裕ね』
「──‼︎」
思考から浮上したエネルは眼前で振り下ろされた木の棒に咄嗟に槍で応戦する──ガンッと金属と木の鈍い衝突音が鳴り響いた。
攻撃を防がれたユナは直ぐさま後ろに飛び退き距離を取る。
ドクン
「…全く持って不可解な能力だ…面白い」
ドクン
エネルと対峙しながらユナは静かに息を吐く…相手に悟られぬよう平静を装って、煩くなる心臓に無理やり気付かない振りをする。
ここでやられる訳にはいかない、ルフィ達の傷付く姿は見たくない…如何にかしてエネルに致命傷をあたえないと。
ぐっと木の棒を握り直すとユナは再び駆け出した、風が効かないのなら接近戦で直接叩くしかない。
エネルも同じ考えなのか雷が効かないと分かると肉弾戦へと切り換えた。雷であるエネルの体には触れる事は出来ないのでユナは全ての攻撃を避けるか木の棒で防ぐ。
だがエネルの武器である槍が中々に厄介な物でリーチがある分こっちは不利だ、所々服が裂け擦り傷も増えていく。
その一方でユナの攻撃は全て防がれ中々エネルに一撃を入れることが出来ないでいた。
金属と木との衝突音が幾度も森に響き渡ったころ、どちらとも無く飛び退くと距離を取った。
いつの間にかユナの額には大粒の汗が噴き出ていた。肩で息をしながら何とか息を整え、ユナは鬱陶しげに汗を手で拭うとエネルを見据える。
このまま長引けば流石にヤバい…久々に使う”能力”に自分の身体が次第に重くなっていくのが分かる。
一方のエネルも僅かながら息が上がっていた、ユナを見据え次の攻撃に備える。