第17章 神との対峙
地上に行きたいのなら自分一人で行けば良いものをそれでは意味が無いと、人間は大地に還るべきだと何とも傲慢な事をエネルは当たり前のように言う。
その為の自分が乗る船も既に準備してるそうだ。
「──どうだ?貴様も一緒に来るか?」
『…悪いけど私、貴方にも、貴方の夢にも興味が無いわ』
「ほう──神の誘いを断るつもりか?」
『いいえ、”神の誘い”じゃなく”貴方の誘い”を断るのよ。私は貴方を神だと肯定も否定もしないわ』
貴方が何になろうと私には関係無いし興味無いもの。
──それで仲間が傷付くのなら話は別だが。
ユナの言葉にエネルは一瞬目を見開いた。
「…ヤハハ、そんな事を言う奴は初めてだな…気に入ったぞ。ならばその目で見るがいい”私の夢の世界”を」
『……聞いてなかったの? 私は貴方とは行かないわ』
「残念だがお前に拒否権はない」
来ないと言うのなら力尽くで連れて行くのみだ。
『──っ!』
突然自分に向かって落ちて来た雷をユナは横に飛び退いて回避すると、すかさずエネルに向かって風の刃を飛ばす。
「──ほう、貴様も能力者か。だが雷の私にはそんなものは効かぬ」
貴様”も”と言う事はエネルも能力者なのか…しかも雷と言ったか──自然系とは相手が悪い。
ユナが放った刃はエネルに直撃した。しかし直撃した部分は裂けはしたものの直ぐに再生する、やはり自然系であるエネルの体を傷付ける事は出来なかった。
どうする──、自然系ならまず相手の能力を無効化しない限りはダメージを与える事は出来ない…ユナは奥歯を噛み締めた。
今、エネルを倒せなかったらきっとみんなもタダでは済まない──。
「ヤハハ、考えても無駄だぞ。私には全ての攻撃が効かぬのだからな」
『………』
余裕な笑みを浮かべるエネルをユナは見据えた…完全に弄ばれている。何処までも傲岸不遜なエネルにユナの目つきは次第に冷たくなる。