第17章 神との対峙
『……ん…』
僅かに聞こえてきた声にユナの意識は浮上する。薄っすらと目を開けると薄暗い中生い茂る木々が目に入った、もう夜なのか見覚えの無い景色にまだ起きない頭を悩ませながらも身体を起こす。
『………』
何だか夢を見ていた気がするがそれがどんな内容だったかは思い出せない、ただ何となく懐かしかった気がする…。
みんなは少し離れたところにいるのだろうか、微かに聞こえてくる話し声と見える灯りにユナはどこか寂しさを覚えた。
誤魔化す様に膝を抱えて座ろうとすれば、ふと身体に違和感を感じた…見れば全身包帯でぐるぐる巻きにされている、それを見てユナは記憶を手繰り寄せた。
確か特急エビを止めようとした所で”声”が聞こえたと思ったら目の前が真っ白になったのだ…そこまで思い出してユナはため息を一つ吐く。
また肝心な時に役に立たなかったのかと自責の念にかられる…、ユナは頭を一つ振ると気持ちを入れ替え包帯に手をかけた。
「あ、ユナ気が付いたのか!……って、なに包帯取ってんだよ‼︎」
『あ、チョッパーおはよう。みんなは無事?』
「おう、おはよう。みんな無事だぞ…ってそうじゃなくて!包帯取るなって‼︎」
『でもこれ動き難いし…それに大袈裟よ』
「大袈裟じゃねェよ!第一まだ安静にしとかねェとダメなんだからな‼︎」
駆け寄ってきたチョッパーにユナは大丈夫と言うが、チョッパーの駄目だの一点張りに渋々包帯を取る手を止めた。
「じゃァおれみんなにユナが起きたこと知らせてくるな」
『あ、待ってチョッパー。私が行くわ』
掛けられてた布を退けユナが立ち上がろうとすればチョッパーがずいっと詰め寄ってきた。
「おれの話聞いてたかユナ!安静にしてろって‼︎」
『大丈夫よ、ちょっと歩くくらい問題無いわ…それに私より酷い怪我してるチョッパーに言われても困るわ』
チョッパーもユナに負けないくらいには包帯を巻いていた。きっと自分が気を失っている間に何かあったのだろう、今回の敵は中々に厄介そうだ…気を引き締めなければ。