第16章 神の国
追っ手が来るかもしれないのに呑気な三人に怒るナミを宥めながら残りのメンバーはメリー号へと乗り込む。
碇も上げいつでも出航出来る準備が整い後はルフィ達を待つのみだった──その時、突然ガコンとメリー号が揺れた、何事かと様子を見る間も無く船はそのまま動きだす。
「えっ⁉︎」
『…!』
「な、何だ⁉︎」
「船が勝手に動いてる‼︎」
「…⁉︎」
ユナ、ゾロ、ナミ、チョッパー、ロビンを乗せたメリー号は突如現れた特急エビによって後向きに猛スピードで進んでいた。
「どこかへ連れてく気だ‼︎ おいお前ら全員船から飛び降りろ‼︎」
「でも船は⁉︎ 持ってかれたら!」
「心配すんな‼︎ おれが残る‼︎」
「…ダメね、それも出来ないように”してある”わ」
ロビンの言葉に船の外を見ればそこには大口を開けた如何にも凶暴そうな大型の空魚が数匹、メリー号の後ろをピッタリとついて泳いでいた。
『なら、あいつらをやっつければ良い訳ね』
「どうするつもりユナ!」
『こうするの──デェパーニフィッサ(鎌鼬)‼︎』
手摺に近付き空魚に狙いを定めるとユナは無数の風の刃を放った、斬り刻まれた空魚達は意識を失いその場にぷか〜と浮かぶ。
「おぉー! ユナすげェな‼︎」
「さっすがユナ! その調子でエビものしちゃいなさい!」
特急エビに指をビシッと指すナミにご指名を受けたユナは上空へと舞い上がった、特急エビはメリー号の真下にいるのだ…流石に船上からの攻撃は難しいのでユナは船の横に移動する。
今尚スピードを緩める事なく進む特急エビに並走しながらユナは狙いを定める、そして──。
『アネモス──』
【小賢しい】
「──え?」
「……っ‼︎」
「なっ…」
「…⁉︎」
何が起こったのか分からなかった…一瞬目の前が眩しくなり視界を奪われたかと思うと、次に目にしたのは技を出そうとしたユナが意識を失い雲海に落ちて行く姿だった。