第16章 神の国
「どーしたんだナミ?」
「私じゃなくてユナが言いたい事あるんだって」
「そうなのか?」
ユナに視線を移し尋ねるがユナは気まずさから目を逸らしてしまう、そんなユナを見たナミは再び背中をバシッと叩くと文字通りの後押しをした。
背中を叩かれ若干ヒリヒリと痛みを感じながらもユナは意を決して口を開いた。
『あ、あのねルフィ……、さっきはごめんなさい迷惑かけて、感情的になり過ぎたわ』
「迷惑って……いつかけたんだ?」
『え…』
「そんな事よりユナも来いよ、おもしれェ木の実があンだ!」
ユナはパシッと自分の手を掴むルフィを見上げると次いでナミに振り向いた、「だから言ったでしょ」と言うナミにユナは笑顔で頷く。そしてルフィに引っ張られて少し進んだところでポロローンとハープの音が聞こえてきた。
「おい、あそこに誰かいるぞ‼︎」
「また…‼︎ ゲリラか⁉︎」
「笛‼︎ 笛は⁉︎」
「待て違う‼︎ ……天使だ‼︎」
音のする方を振り向けばそこには一人の女性が佇んでいた。彼女が此方に気付くと元気に「へそ!」と挨拶してきた…変わった挨拶にルフィは何言ってんだと驚きを隠せない。
「私はコニス、こっちは雲ギツネのスーです。何かお困りでしたら力にならせて下さい」
頭に二本の触角のようなものを生やして背中には天使の羽をつけた三つ編み姿の女性と、その足元には白い狐が「スー」と鳴いていた。
コニスの申し出は有り難かった、分からない事だらけの空島で聞きたい事は山程あるのだ、何から聞くべきかナミが悩んでいたその時…雲海の方からモーター音が聞こえてきた。
今度こそゲリラかと構えるが現れたのは何とコニスの父親だった。雲海の上を帆も無しにスイスイ進む小舟に乗って近付いて来る父親とコニスは「へそ」とまたしても独特な挨拶を交わしている。
「はいすいません、止まりますよ」
近く迄きた父親は小舟を止めようとするが──つるんっと滑ってそのまま木の幹へと激突していった。
「…みなさんおケガはないですか」
「おめェがどうだよ‼︎」
頭から血を流しながら他人の心配をする父親に思わずゾロが突っ込む。