第16章 神の国
『──三人ともありがと…ちょっとルフィと話してくる』
そう言うとユナはメリー号から飛び降りる、ぼふんと着地し雲海の初めての感触を楽しむとそのままルフィ達の方へと駆けて行った。
その姿を見ながらナミがポツリと呟く。
「…なーんかユナって私達に遠慮してる気がするのよねー」
「…そうかァ?」
「気のせいじゃないのかいナミさん?」
「うーん、そうかしら…」
遠慮と言うか自分達との距離に一線を引いている様な気がする、それを本人が意識しての事なのかは分からないが時々どこか寂しそうな顔をするのだ…二人の言う通り思い過ごしならそれに越した事はないのだが。
「まァ居候ってェのもあるンじゃねェのか」
「そうだけど今は仲間なんだから遠慮しなくていいのに…」
寧ろ私はユナともっと仲良くなりたいのよ!とナミが意気込めば話を聞いていたロビンが口を開く。
「風使いさんは仲間じゃないの?」
「…あァそっか、ロビンは知らないのよね」
話が見えないロビンにナミが説明する。
ユナはルフィの兄エースが一時的に預かって欲しいと連れて来たのだ、野暮用が終われば再び迎えに来ると言い残して。
「…そうだったの」
「私としてはこのまま仲間になってくれたら嬉しいんだけどねー」
「それはおれも大賛成だな」
だけどこればっかりは自分達がどうこう言っても仕方がない、決めるのは本人なのだから。
いつになるか分からない事を今言っても仕方がないとナミ達も船から降りて浜辺を目指す…少し歩けば前に栗色の髪を見つけた。
「…なーに突っ立ってんのよ!」
『わ…っ』
バシッと背中を叩きナミがその人物の隣に並ぶ。
「ユナあんたルフィと話すんじゃなかったの?」
『う、うん…そのつもりだったんだけど…』
いざルフィを前にするとどうしても気が引けてしまう、さっきは普通だったが実は怒ってたらどうしようとか不安が拭えない。
「ハァーあんたバカねー、さっきも言ったけどルフィ相手に悩んでもこっちが損するだけよ……ルフィ! ちょっとこっち来て!」
『っ⁉︎、ちょ、ちょっとナミ!』
まだ心の準備が出来てないユナを尻目にナミはルフィを呼び付ける。呼ばれたルフィはなんだァ?と駆け寄って来た。