第15章 天国への道のり
さて、これからの事をどうしようかと考えたところでユナの叫び声が耳に届いた。
『──っ、どうして邪魔したのよルフィ‼︎』
ルフィの腕の拘束から解放されたユナは肩を上下に動かしながらまだ呼吸の整わない状態でルフィに詰め寄る。
『ルフィさえ邪魔しなければアイツを──、ティーチを殺せたのに‼︎』
「ユナあんた…」
「ユナ……」
「ユナちゃん…」
「お、おい…何も殺さなくても……」
悲痛な声で叫ぶユナに一味はそれぞれ声を漏らす、その中でも最後に零したウソップの言葉にユナはキッとウソップを睨め付ける。
睨まれたウソップは一瞬たじろいだ、何も知らないくせにとユナは内心思うがウソップ達が知らないのは当たり前だと何とか自分を踏み留め言葉にはしなかった。
『どうして…邪魔したのルフィ……』
怒りを抑え再びユナはルフィに問い質す。今迄黙っていたルフィだったが徐に帽子を手に取り、被り直すとユナに向き直った…ルフィの黒い瞳がユナを映し出す。
「──エースがおめェをおれに預けたって事は…おめェをあいつと戦わせたく無かったんじゃねェのか」
『っ‼︎』
ユナを見据えるルフィの真っ直ぐな瞳が、確信を突く言葉が、ユナをその場から動けなくする。
ユナも気付いていなかった訳じゃない、隊の失態は隊長がケジメをつける…白ひげの船を飛び出す前にエースが言っていた言葉だ。今回はエースの隊員だったティーチが招いた事、だからエースがケジメをつけるのが筋だろう。
だからエースと二人旅している時にティーチを見つけても手は出さず、エースに任せようと心に決めていた…麦わらの一味に居候になってからもそれは変わらず、もし見つけても自分は手を出さないでおこうと決めていたのだ。
でも──、いざティーチを目の前にしたら考えるより先に身体が動いた、頭では理解出来ていても心が言う事を聞かない…ティーチは仲間殺しをしたのだ、仲間を殺された怒りは理屈じゃ抑えられない。
『…だとしても──』
「おい!誰か来るぞ‼︎」
「…え?」
「っ⁉︎」
「ど、どこよ⁉︎」
ゾロがユナの言葉を遮り叫ぶ、その声に一味は直ぐさま身構える。