第14章 衝突
時刻はもうとっくに朝だ、ベラミーという奴がどれほどの者かは知らないが、ルフィが負ける事はないだろうと信じている一方で心の何処かでもしかしたらと考えてしまう。一層の事自分が向かおうか、その方が早いしこの不安も早く無くなる…そう考えてユナが口を開こうとしたその時、遠くの方からルフィの声が聞こえて来た。
「お〜〜〜い、みんな〜〜ァ‼︎、見ろよこれ!ヘラクレス〜〜‼︎」
目を輝かせて手に持つヘラクレスを掲げながら走って来るルフィに一味は「何しとったんじゃァ⁉︎」と声を揃えて突っ込んだ。取り敢えずルフィが無事帰って来て良かった。
「遅い!もう46分の遅刻よルフィ‼︎」
「悪りィ悪りィ……うわっ‼︎すっげェな〜〜‼︎」
ナミに謝りながらルフィは目に入ったメリー号に目を輝かせた。
「飛べそ〜〜‼︎」
「だろう⁉︎」
ルフィの感想にウソップが相槌を打つ、鶏をモチーフに改造されたメリー号。改造と言っても船体の両側に鶏の形の翼が付いているだけだが。
「私あれ見ると不安になるわけよ… 」
「まァそうだな鶏よりハトの方がまだ飛べそうな…」
『あ、それ私も思った』
「それ以前の問題でしょ‼︎あんたらバカねっ‼︎」
ゾロとユナが同じ感想を漏らせば何故かナミに怒られた。どうやらモデルは関係なく設計にナミは不満があるようだ…そんなやり取りをしているとマシラ達の呼び声が聞こえてきた。
「とにかく急ごう船に乗れ‼︎、間に合わねェぞ‼︎」
「おれ達が先導するからついて来い‼︎」
その声に一味は鶏モデルのメリー号に乗り込む、出航準備をするルフィ達にクリケットが見送りに来た。
「小僧‼︎おれァここでお別れだ‼︎一つだけこれは間違いねェ事だ…‼︎、”黄金郷”も”空島”も‼︎過去に誰一人”無い”と証明できた奴ァいねェ‼︎」
「うん‼︎」
「バカげた理屈だと人は笑うだろうが結構じゃねェか‼︎それでこそ”ロマン”だ‼︎」
クリケットの力強い言葉に一味は頷く、最後にクリケットがルフィに取り返して来た金塊の礼を言えば、「気にするな」とルフィは笑顔で返す、それを合図に船は空島へと向けて出航する…クリケットは夢をルフィ達に託す思いでメリー号をいつまでも見送っていた──。