第2章 別れは突然に
船を出た時の約束…、それはこの旅の始まりだ、ユナは記憶を遡る。
──エースは”白ひげ海賊団二番隊隊長”の肩書きを持つ、オヤジとはその船の船長白ひげの事、エースは勿論のことユナもこの旅に出る前は色々あって白ひげ海賊団にお世話になっていた。
毎日楽しく仲間たちと過ごしていたがある日ある事件が起きた、それは絶対に許される事のない事件…エースはその落とし前を着ける為に白ひげ海賊団から飛び出した、一人で船から出て行こうとするエースにユナは無理やりここまで付いてきたのだが、ただその時に一つだけ条件を付けられた。
『………』
口を塞がれ初めは抵抗していたユナだが、約束を思い出したのか次第に大人しくなっていった。
「思い出したか?」
ユナは返事の代わりに一つ頷く、それを確認したエースはユナを解放した。やっと自由になったと言うのにユナの口からは何も発せられない、ただ何かを堪えている様な悲しい表情をしてエースを見上げていた。
それを見たエースは苦笑する、「許せよ」と言ってユナの頭をポンポンと撫でた。
「…て事で頼むぜルフィ、他のみなさんも迷惑だろォがよろしくたのンます!」
「おう!まかせろ!」
深々と頭を下げるエースを見たらもう何も言えない、エースは一度言い出したら聞かないし何より約束もある…ユナも覚悟を決めるしかなさそうだ。
「あ、それとルフィ、お前にコレを渡したかったんだ…ホラ」
「ん…?なんだぁ?」
投げ渡されたモノを見て何か分からないルフィは頭を傾げる、それに反してそのモノを見たユナは目を見開いた。
「そいつを持ってろ!ずっとだ…」
「ただの紙っ切れじゃねェか?」
「そうさ、”ただの紙”だ…だがそいつがいつかおれとお前を引き合わせる…!」
「この紙がか…?」
「なんだ、いらねェか?」
「いやいる!」
『私もいる!』
間髪入れずに答えるルフィに続いてユナもその紙が欲しいのか、ハイハイ!っと手を挙げて主張してきた。