第13章 空島へ行くには
「ほらよ」
『…ありがと』
ゾロにお酒が入ったジョッキを渡され受け取る。ユナはお酒に写り込む満月を眺めながら昔の記憶を手繰り寄せるが、やはり飲んだ後の事は思い出せない。
「じゃ、月見酒に乾杯ってな」
『うん、かんぱーい』
思い出せない事は仕方がないかと諦めるとユナはお酒に口を付けた──。
ユナと飲み交わし酒樽も残り半分くらいになったところで突然クリケットの家から叫び声が聞こえて来た、なんだァ?とゾロが家の方を振り向けばルフィが勢い良く飛び出して来た。
「おいゾロ!今から鳥捕まえに行くぞ‼︎」
「……は?」
虫取り網とカゴを持ったルフィに状況が飲み込めないゾロは思わず間抜けな声を上げる。そんなゾロには御構い無しにルフィは隣にいたユナにも声を掛ける。
「おいユナも鳥捕まえに行くぞ!」
ユナの肩を掴んで言うとユナはゆっくりと振り向き、コテンと首を傾げた。
『とり…?』
「あァ!”サウスバード”を捕まえねェと空島に行けねェんだ‼︎」
「待て待て、まず状況を説明しろ」
訳が分からんとゾロが言えば、後から出て来たナミ達が説明しだす。どうやら”サウスバード”と言う鳥は南を向く習性があるらしく、コンパスのきかない目印の無い海へ進むには必要不可欠らしい。しかも出発は明日の朝、今夜中にサウスバードを捕まえなければ二度と空島へは行けないと言う。
そうとなれば急ぐに越した事はない、一味はサウスバードがいると言う近くの森へと足を踏み入れた。
「…しっかしこんな森の中どーやって鳥を探すンだよ」
「変な鳴き声だから聞けば分かるって言ってたぞ」
「変な鳴き声ってどんなだよ…」
草木が生い茂る森は日中でも薄暗いだろう、それどころか今は既に夜だ、薄暗いどころか真っ暗に等しい森の中どうしたものかと一味が頭を悩ましていると、不意に何かの鳴き声が聞こえて来た。
「ジョ〜〜〜」
「「「うっわ、変な鳴き声」」」
「これだ…」
初めて聞くサウスバードの鳴き声に思わず一味の声が揃う。取り敢えずこの声のする方に行けばサウスバードがいるはずだと一味は顔を見合わせ頷く。
「網は全部で3つ…三手に別れて探──」
「いや、待てサンジ君…おれに良い考えがある!しかも探し回るより確実な方法だ」