第13章 空島へ行くには
大きな切り株を机がわりにルフィ、ナミ、ウソップ、チョッパーが切り株の周りに腰を下ろし、ユナとゾロは家の壁に背を預けてクリケットの話に耳を傾けていた。空島については興味があるが太陽は真上を過ぎた辺りで丁度いいポカポカ陽気がユナの眠気を誘う。
今日は良い天気だなァと思いながら隣を見ればゾロは既に寝息を立てていた。流石に早過ぎる離脱にユナは呆気にとられながらもチラリとルフィ達を見る。
ルフィはともかくナミも話を聞いている事だし何とかなるだろうと結論付けると、今尚襲い来る睡魔に争う事をやめてユナもついに意識を手放した。頭の隅では”積帝雲”や”昼の夜”、”ノックアップストリーム(突き上げる海流)”なのど単語が聞こえた気がした。
「……アッハッハ‼︎お前ら最高だな‼︎」
不意に聞こえた声にユナの意識は浮上する、ゆっくりと瞼を上げると初めに目に入ったのは見知らぬ天井だった。
『……あれ?』
確か自分は外で寝ていたはずだ、今いるのはどう見ても室内。どういう事だと考えながら取り敢えず起き上がった所でチョッパーが声を掛けてきた。
「ユナ起きたんだな!」
テトテトと可愛らしい効果音と共に駆け寄って来たチョッパーに視線を向ければ、その後ろにいたナミがずいっとユナに顔を近付けてきた。
「あんたねェ、寝過ぎよ寝過ぎ!起こしても全然起きないんだもの…心配したんだから!」
「ユナ大丈夫か?体調悪いならちゃんと言えよ?」
『へ?……あ、大丈夫何ともないから…』
顔を覗き込んできたチョッパーにユナはパタパタと手を振って大丈夫と言う仕草をする。思いの外寝過ぎたらしく、窓の外を見れば太陽は既に沈みすっかり夜になっていた…誰かが運んでくれたのだろう、ユナはクリケットの家のベッドを占領していた。
いまだに心配そうに見上げて来るチョッパーにユナは笑顔を見せる、余りにもポカポカ陽気が気持ち良過ぎてついつい爆睡してしまったなんて言えば、「爆睡にも程があるでしょ…ゾロより酷いわ」とナミに呆れ口調で言われてしまった。
ゾロより酷いとはまだ一味に入って日が浅いユナには分かりかねるが、それでもユナの記憶にあるゾロはいつも昼寝をしていた気がする…。