第1章 出会い……
二人で一本づつビールを飲んだ後
"じゃあ私帰ります"なんて一人立ち上がり
歩いていこうとする"あん"の手を掴み
「あかんよ一人は…。
あんなことあった後やし…
家まで送るから一緒に行こ……?」
俺がそう言うと
"あん"は掴んだ手をさっと振り払うと
ぐるりと俺に背中を向ける…
「どうしたん………?」
急に向けられた背中に
そう声をかけると…
「あの…そんな風に女の子扱いするの
やめてください……。
本当に私は大丈夫ですから……」
そう言って"あん"は
その場から逃げるように走り出す……
追いかけようとしたけど
思った以上に"あん"の足は早くて
すでに姿は見えなくなっていて
「女の子扱いするなって言うたって…
見た目も行動も態度も
全部女の子やのになぁ…(笑)」
そう一人呟いて
公園を出て家までの道を
またゆっくりと歩き始めた…