第1章 出会い……
"あん"はちゃんと家に帰れたんやろうか?
そんなことを考えながら足を進め
家の前に着きマンションの下から
自分の部屋を見上げると
少しの明かりが漏れていて
"かながおるんやな……"
そう確認してマンションに入る…
鍵を開け中に入ると
かなは見ていたテレビをから
俺の方に目線を移し
"お帰り"そう言って笑顔を見せる
そんなかなに
"ただいま(笑)"そう短く言葉を返し
寝室に入り扉を閉める…
暗い部屋の中電気も付けず
ヘッドに腰を下ろすと
不意になぜか
小さく震えていた"あん"の手や
掴んだ手首の細さを思い出して
ざわざわと胸が騒ぎだす…
なんでなんやろう……?
人に媚びないあの強気な態度も
意思の強そうな目も
全部が全部
頭から離れてくれへん…
小さな小さな"あん"という種が
俺の中で芽をだし根をはろうとしてる…
でもその小さな芽が
俺とかなと"あん"にどんな未来を
咲かすかなんて
まだ誰にもわかるはずが無かった…