第1章 出会い……

「あんちゃんは強いんやなぁ(笑)

絡まれてんのに怖がるどころか

相手怒らすようなこと平気で言っちゃうし…

でもいくら強くても女の子なんやから

気を付けなあかんよ？

あれがかなやったら腕捕まれた時点で

泣きじゃくってるわ(笑)」


俺がビールを差し出しながら

そう言うと


"あん"は俺の手からビールを受け取って

「私可愛いげがないんで…(笑)」


なんてぼそりと呟き

ビールを一口喉に流し込む…


でもそんな"あん"の

ビールを握りしめる手が

小刻みに震えてることに今更ながら

気が付いて…


「あんちゃんは可愛いげなくなんかないよ？

暗がりであんな風に絡まれて

女の子が怖くないわけないよね…？

ほんま俺はデリカシーが無いよね(笑)

でも…

あんちゃんが怪我とかせんで

ほんとに良かったわ(笑)」


そう言って笑いかけると…


"あん"は驚いたように俺を見つめた後


"別に怖くなんか……"


そう言って俺から顔をそらし


ごくりと音を鳴らしながら

ビールをもう一口喉に流し込んだ……