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オレンジ

第3章 捨てられない感情


丸山side

初めて入ったあんの部屋は

かなの"女の子の部屋"という感じとは真逆の


必要なものだけがきれいに並んだ

シンプルな部屋やった…


「かなさんは…?」


そう遠慮気味に問いかけながら

冷蔵庫から2つのビールを取りだし

俺のとなりに腰を下ろしたあんに


「ちゃんと送り届けてきたよ…?」


そう言って笑いかけると


「そう…ですか………(笑)」


なんてポツリと呟き

テーブルに置かれたビールに

手を伸ばす…


そんなあんの手を掴んで

驚いたように俺を見つめるあんに



「なぁ…今だけ……今だけでええから…


かなのことも回りの目も

全部忘れて…


俺のことだけ考えて……

俺だけを見て…

俺に……溺れて…………?」



そう言ってあんをまっすぐに見つめると


あんはすごくキレイなその目に


涙をいっぱい溜めて


黙ったまま俺の胸に


頭を預けた…………
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