第3章 捨てられない感情
俺の切なる思いは叶うことなく
すばるくんはあんが気に入ったようで
食事中もずっと
あんのことを目で追いながら
「これ食った?うまいぞ?」
なんてことあるごとに話しかける…
「…へい……隆平…聞いてる……?」
俺を呼ぶかなの声がするけど
それどころじゃなくて
「ん………?」
なんて適当に返事をすると
「だから…二人言い感じだからさ
先に帰って二人きりにしてあげよ?」
そんなあり得ない言葉が返ってきて
「いや…でもまだ二人きりとかは
早すぎるんちゃうかな……(汗)?」
焦ってそう言った俺を無視してかなは
「すばるくん…二人きりにしてあげるから
うまくやってね…?
でもいきなり襲ったりはダメだよ(笑)?」
なんてこっそりとすばるくんに耳打ちし
渋る俺の手を引き部屋を出ていく…
部屋を出る瞬間
あんに向けた視線は届くことは
なかったけど…
二人残された部屋の中
すばるくんのあんに向ける笑顔が
ちくりと胸に刺さって
俺の中を嫉妬という名の嫌な痛みが
覆いつくしていた…