第3章 捨てられない感情
あんside
かなさんのところへ帰る丸山さんに
手を振りながら
涙がこぼれそうになるのを
必死に我慢した…
せめて
丸山さんが見えなくなるまでは
そう唇を噛み締めながら…
部屋に戻って自分の左手に光る
オレンジ色の石を見つめていると
我慢していた涙が次々に溢れてくる…
丸山さんは本当に罪深いなぁ…(笑)
こんなことしても
丸山さんも…かなさんも…私も…
誰も幸せになんてなれないのに
それでもきっと私は
この指輪をはずすことは
出来ないんだろうな…?
そんなことを考え
溢れてくる涙を拭っていると
カバンからメールの着信音が鳴る…
カバンからスマホを取りだし
画面を確認すると
それはかなさんからのメールで
『今日は付き合ってくれてありがとう。
さっきは冗談みたいに言ったけど
本当にすばるくんはお勧めだよ?
今度はダブルデートしようね?
楽しみだな(笑)』
私はそのメールに
『わかりました。』
と…短い返事を返した…。