第3章 捨てられない感情
丸山side
「もしかして…気に入らんかった…?」
無言のまま左手におさまる
オレンジの指輪を見つめ続けるあんに
そう問いかけると…
「すごく嬉しいですよ……?
ただ受け取ってもいいのかなって…」
なんてまたあん下を向く
そんなあんの顔を
両手で包み込み触れるだけのキスをして
「分かってるから…
今は何も言わんといて…?
じゃないと…
このまま襲うで………(笑)?」
そう笑って言うと
あんは小さく頷いて
涙をたくさん貯めた瞳で
俺を見つめる…
「離したくないけど…
帰らなあかんよな………?」
あんを抱きしめる俺の背中を
ぼんぼんと叩く手に…
「連絡するね………(笑)?」
そう言って体を離し
かなの待つ家に歩き出す
少し歩いた所で後ろを振り返ると
あんはまだそこにいて
後ろを向く俺に気付いて
笑顔で手を振る………
俺のしたことが…
これからとるであろう行動が…
回りをひどく
傷つけてしまうことやとしても
それでも俺は
あんが欲しい…………………。
こんなこと伝えたら
あんはきっともっと苦しむから
今はまだ胸の中にしまっておく……
でも俺はあんだけを
苦しいほどに求めてるよ………?