第3章 捨てられない感情
"悲しませないでぐださい…"
そう言って頬に触れる丸山さんの手を
そっと下に下ろすと…
「あんはもっと欲張りになってええのに…
なんか俺ばっかりあんを好きみたいで
くやしいなぁ…(笑)」
なんて少し悲しそうに笑いながら
私の頭をその温かい手で撫でる…
「なぁ…あん…ちょっとだけ
目つぶって…(笑)」
「え…何で……?」
「エエから早く!!」
そんな丸山さんの迫力に負け
仕方なくぎゅっと目をつぶると
丸山さんはそっと私の左手を持ち上げる…
「はい目開けてええよ(笑)」
そんな声に
閉じていた目をゆっくりと開くと
私の左手の薬指には
小さなオレンジ色の石が光る
指輪がはめられていて…
「これ…………」
「うん………
かなの誕生日プレゼント探してるときに
これ見つけて…
あんにつけて欲しいなって思って…(笑)」