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オレンジ

第3章 捨てられない感情


「手…離してください……」


マンションから出た所で

私の手を握りしめる丸山さんに

そう小さな声で呟くと


「嫌です(笑)」


とさらに繋いだ手にぎゅっと力を入れ…



「だってあんは手を離したら…

いつも俺から逃げていくやんか……?」



なんて…

真剣な顔で私を見つめる…


「お願いだから…

これ以上かなさんを裏切るようなことは

やめましょ…?

あのプレゼントだって…

かなさんを思って買ったんでしょ?

だったらもう私のことは

そっとしておいてください…

会わなければ忘れられる……んっ……?」



突然塞がれた唇に

胸を叩いて抵抗しても

丸山さんはびくともしなくて…



頬を撫でる丸山さんの手の熱さに

頭が真っ白になって

丸山さんの体にもたれかかると


やっと丸山さんは

私の唇から唇を離す……



「あかん……

忘れるなんてさせへんよ………?」



そう言って抱きしめられた腕の中


丸山さんはもう一度小さく


"あかんよ…そんなん……"


そう独り言のように呟いた……
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