第3章 捨てられない感情
食事が終わって
食器を洗うかなさんを手伝った後
かなさんが丸山さんの隣に
座ったところで
「私そろそろ帰りますね?
今日はごちそうさまでした(笑)」
部屋を出ようとすると
「待って…?
もう夜も遅いし送って行くわ……」
そう言って丸山さんは
ソファーから立ち上がる…
「大丈夫です…近いし一人で帰れます!」
そう焦って断る私に
「ダメだよあん!
夜道の一人歩きは危ないんだから。
こんなんでもいないよりましだから
送ってもらいな?」
かなさんはくるりと顔を向け
そう言ってにっこりと笑う…
「でも…私…は……」
なんて下を向く私に丸山さんは
「はい…ごちゃごちゃ言わんと
はよ行くで?」
そう言いながら上着を羽織り
私の背中を厳寒に押していく…
「気を付けてね(笑)」
部屋から聞こえるかなさんの声に
丸山さんは
"行ってきます"そう短く返事をし
私の手を握り玄関を出た…