第3章 捨てられない感情
朝目をさまし
一人のベッドの中で
ごろごろと転がってみる…(笑)
こんな風にあんのこともかなのことも
何も考えずにいられたら
楽でええのに……
そんなことを考えていると…
枕の隣に放置してあったスマホが
煩く着信音を奏で出す…
『もしもし………』
『お…隆平ちゃんと起きてたんだね(笑)
昨日はあれから大丈夫だった…?』
『うん…あの後一時間ぐらいで目覚まして
それから家に帰ったよ?』
『ならよかった…(笑)
あ…今日夜隆平のとこ行ってもいい?』
『うん…?えっとごめん…今日は
遅くなると思うから……』
『そうなんだ…わかった…
じゃあまた今度にするね…?』
『うん…あ…かな?』
『何?』
『愛してるよ………?』
『そんなの知ってるよ…
朝からバカじゃないの(笑)』
いつもと同じかなの声
何度も繰り返し伝えてきた愛してるの言葉
暖かいはずのその言葉が
ひどく寂しい響きに聞こえるのは
きっと俺の心に
"あん"という花が
身動きさえ出来ないほどに
咲き乱れてしまっているから………