第2章 熱い手
丸山side
"今日は焼き肉だよ!!
いつもの店に19時だからね?"
そんなメールが昼間かなから来て
撮影が終わって急いで店に
駆けつけたものの
その時点で約束の時間から
20分の遅刻で…
急いでかなの名前で予約してある個室に入ると
ビールジョッキを持ち上げ
勢いよく喉に流し込む"あん"の後ろ姿が
見える…
"いい飲みっプリやね(笑)"
そう言って笑いながら席に座り
前に座るあんの顔に
ちらりと目を向けると
"あん"はなぜか
少し泣きそうな顔をしながら
またビールジョッキを持ち上げ
中身をきれいに飲み干していく…
「ちょっとピッチ早ない………?
早くなんか注文しよ?
空きっ腹にお酒はあんまり良くないから…」
そう言って
テーブルの上にあるボタンを押し
適当に肉の注文をすると
「ビールのおかわりも……」
"あん"は下を向いたままそう言って
店員に空のジョッキを手渡した…