• テキストサイズ

いい子悪い子、愛しい子 番外編 《ハイキュー!!》

第2章 変わるために


『…先にお風呂入ってください。着替え用意しておきますから』


及川さんが目の周りを真っ赤にしてあたしに手を引かれてようやく帰宅した。岩泉さんは戻ってきていなかった。


ずっと泣き続けて、今も歩くので精一杯みたいな及川さんを強引にお風呂に入れた。中で倒れないか少し不安だったけど、シャワーの音が聞こえたから一応安心した




『及川さん?大丈夫ですか?』


あれから30分経っても及川さんは出てこなかった
あたしが過去に黒尾さんの家でした前科があったから少し心配になってあたしはお風呂場をのぞいた。

及川さんは、お風呂場の床に座り込んで一番高い所にあるシャワーの口から流れる温かい水を浴びていた


『及川さん…?』


「…夜琉ちゃん…」


シャワーを浴び続けていた及川さんがびしょびしょのままあたしのもとへ歩み寄ってきた。
濡れた身体にタオルをかけようとした時、及川さんがあたしを抱きしめた。


「俺…さっきね、大泣きしてる時…聞こえた気がしたんだ。紫乃さんの声で「もういいよ、ありがとう」って…。
俺さ、もういいのかな…自由に生きて…いいのかな?もちろん俺がしたことは償わないといけないかもしれないけど…でも、もういいんだよね…誰かを恨まなくてもいいんだよね?」


『・・・はい』


「夜琉ちゃん・・・」


髪の毛を冷たくなった水が滴っている及川さんと目が合った瞬間、及川さんがあたしに口づけをした。
・・・そういえば、及川さんとは初めてだ


「俺、君を絶対大切にする。紫乃さんのためってのは二の次。今は、君が好きだから君を守る。俺の意思で君のそばにいたい・・・。いい?」



簡単にいいとは言えなかった。この言葉は、黒尾さんからも言われたことだ。愛の告白って捕らえてしまえばそれまでだ。


あたしは、どうにか黒尾さんとは違う形で受け止めようと考えた。岩泉さんが親権を持ち黒尾さんは恋人で・・・及川さんは・・・



/ 69ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp