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いい子悪い子、愛しい子 番外編 《ハイキュー!!》

第2章 変わるために


『及川さん、なんで泣かないんですか?』


「えっ、…泣かないよ。俺は…」


『岩泉さんに聞きました。及川さんは紫乃さんが死んだときも泣かなかったって。…悲しくないなんてこと、ないですよね?』


「当たり前だよ。…でも、泣くなんてかっこわるいじゃん。昔はよく泣いてたけど…でも、強くなるって決めたから。だから…俺は…」



『あたしは・・・』


無理に強がっている及川さんにあたしは、冷たく言った
及川さんの目を見ずに、母たちの眠る場所を見つめながら



『―――――かっこつけて泣きたいのに我慢している方が、よっぽどカッコ悪いと思います。

今は泣いていいと思いますよ。
あたしと、紫乃さん達しかいないんですから』



及川さんを見ていないけど、及川さんの方から嗚咽が聞こえてきたのは早かった。
それでも、ずっとこらえている感じがして、あたしは及川さんの顔を見ないようにしながら及川さんの正面から及川さんを抱きしめた


「ッぅ…ぐっ、…うぅ……うぁっ…、あぁ…」


徐々に声が大きくなる及川さんが正面にいるあたしの背中に腕を回して、きつく抱きしめた。
それが合図なように及川さんが崩れるように泣き出した。

10年以上もためていた涙が、今涙腺を破壊して溢れているのだろう。涙と共に声も大きく出ていた。
あたしの肩に頭を置いて抱きしめながら子供のように泣き続け、挙句に泣くことに集中しすぎたのか膝から崩れてあたしは及川さんと地面に座った


「うぅ、ごめッ…ごめんぇ、ヒグッ…ごめんえぇ夜琉ちゃ…ッうわ…ぅあ゛――――――!!!」


あたしには、及川さんの背中を擦ることしかできなかった
周りが徐々に暗くなっても、及川さんは泣き止むことはなかった。


ようやく及川さんが泣き止んだのは夕方の町内放送が鳴り終わってからちょっと経ってからだった



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