第2章 変わるために

納骨堂をあとにして、入畑さんが境内の中で骨壺を箱に入れてくれている間にあたしはここまでの経由を及川さんに聞いた


10年以上前、紫乃さんが死んでしばらく経ったとき・・・及川さん達が高校に入ってすぐだった時


及川さん達4人の所属したバレー部の顧問だった入畑さんが副職として神社の神主をしていることを知ったらしい

それまでは、病院の霊安室で眠っていた紫乃さんをなんとかしてあげたいと相談したら、入畑さんは快く火葬を行ってくれたみたい


でも、紫乃さんには入るお墓がなかったから納骨堂に入れるしかなかったという


でも、及川さん達にはある願いがあってそれが叶うまではここで預かってくれって頼んでいたみたい。

その願いが、唯一の肉親であるあたしを探すこと
当時は牛島に復讐するのと同時にそのことも含めて探していたらしい


『…でも、あたしを殺しちゃったらその願いは叶わないんじゃ…』


「当時は夜琉ちゃんの存在だけ知れればいいと思ってたの。その理由はね…」


と言いかけた時、入畑さんが遺骨を持ってやってきた
箱に入った紫乃さんを及川さんが受け取った。愛おしそうにそれを抱きしめていたら、急にあたしを見た。そして、遺骨をあたしに差し出して言った






「夜琉ちゃん…紫乃さんを、君のお母さんと一緒にお墓に入れてくれない？」