いい子悪い子、愛しい子 番外編 《ハイキュー!!》
第2章 変わるために
「あの・・・俺」
「及川、謝罪か謝礼だったら聞かないからな」
菅原さんのぴしゃりとした言葉に、及川さんは言葉を詰まらせていた。見ていた書類の中から1枚紙を取り出してそれ以外をデスクに乱雑において、菅原さんは10センチ以上も高い及川さんを睨み返した
「俺はお前のために出したんじゃねえ。お前に貸しただけだ」
取り出した紙を及川さんの胸に押し当てて手渡した
受け取った及川さんは、それに書かれていたことを小さな声でつぶやいていた
「えっ…スガちゃ…」
「向こう3年以上、無償でうちのモデルな。それでチャラにしてやる。文句あるか?」
言葉はきついけど、顔は笑っていた
あたしは、大人の話は分からなくて近くにいた山口さんを見た
山口さんはそれが分かったみたいでニコニコしながら教えてくれた
「菅原さんは、謝ったりお礼言ったりする前にうちで働いて金返せってさ。素直じゃないね。」
つまり・・・そういうことか
あたしはやっと理解して及川さんと菅原さんを見た。
無償は勘弁して・・・って言ってるけど、そこは菅原さんは譲らないみたいだけど・・・
すると、菅原さんが及川さんに何か耳打ちしていた
及川さんはそんな菅原さんに笑顔でうなずいていた。
「じゃあスガくん、俺達行くね。」
「あぁ、お前は明日からな。夜琉ちゃんまたね~」
『はい、ありがとうございました。』
及川さんがスガくんにお礼をしてエレベーターに向かったからあたしもそれに付いてエレベーターに乗った
『あの、最後菅原さんに何言われたんですか?』
「ん~?ナイショ」
と、人差し指を口の前に置いてシーのポーズであたしをごまかした。えぇ~というあたしを窘める及川さんの心の中には、菅原さんの言葉が響き渡っていた
―――――お前、あの子がいてホントよかったな。あの子がいなきゃ、俺の服一生着れなかったんだからな
菅原さんらしい遠回しだけど確かな言葉を・・・