第6章 5歳の年の差は大きいか?小さいか?
「お二人はお知り合いですか?」
目の前の武田先生が問いかける。
「知り合いって程でもねぇかな?」
「そうですね」
烏養さんの言葉に相づちをうつ。
「町内会の行事とかで顔を見る程度です」
「あと、前に連れてきた町内会のチームに大学生が居たろ?アイツ伝いで、顔を合わすくらいだな。たまにバレーも観に来てたし」
「森くんとは何て言うか…兄弟みたいなもんなんです。0歳の時から一緒です」
代わる代わる口を開いて武田先生に説明をした。
納得したように頷く先生に目を向けていると、
「んでさ、今更だけど名前なんだっけ?」
と気の抜ける質問が隣からくる。
「えっ?伊藤ですよ」
「ちげーよ。下の名前」
苗字は知ってるに決まってるだろと言わんばかりの呆れた顔で、そう言われた。
「あぁ。君夏です」
「そうだった。君夏だ。アイツがそう呼んでたわ」
そう言ってニカッと子どもみたいに笑って煙草に火をつけた。