第13章 ズルイ自分を変えたい。
道の真ん中でしばらくそうしていた。
「なぁ、もう泣くなよ。帰るぞ。日付変わる前に帰さねぇと、お前の親父さんにドヤされるの俺だぞ」
頭の上から降ってくる、癖のある声に促されてシャツを握り込んだ手を離す。
「ごめんなさい…」
そう言って見上げれば、
ニカっと笑う烏養さんの顔。
「謝ってんじゃねーよ」
クシャクシャと頭を撫でて、
「ほら、行くぞ」
と歩き出した。
先程は半歩前だった彼の歩幅。
私より早足だった彼の歩調。
今も半歩前なのは変わりないけど、私の歩調に合わせて、ゆっくりと歩いてくれている。
まるで…
中途半端な私を、
ズルイ私を、
導くように…。
ちゃんと気持ちにケリをつけて、
この人の側に居よう。
『烏養さんが好きです』って、
ちゃんと伝えよう。
もう、本当にサヨナラ。
私の…片思い。