第1章 どんな女にも棘はある
「久しぶりね」
「おう」
仕事が終わりサトシくんに伝えられたとおりスナックお登勢へとやってきたなつき。
猫耳の天人に驚きつつも銀時の名前を出し、案内された席へついた。
「で、まず確認だ」
「何よ」
神妙な面持ちで聞いてくるものだからこちらも緊張する。
「お、お前あれだよね。ゆゆゆゆゆユーレイとかじゃないよね?」
「・・・・」
冷汗ダラダラであさっての方向を見ながら尋ねる彼に呆れた。
「正真正銘柳守なつき、元攘夷志士で坂本辰馬の紹介であなたとは知り合った。満足?」
「いや〜焦っちやったぜ。死んだものだとばかり・・・」
「まぁ、それは私の落ち度ね。お互いあのあと何があったのか昔話でもしようじゃない。」
店の奥で親しげに話し出すふたりをここの従業員は気にしていた。
「オ登勢サン、アノ男、女イタンデスカ。邪魔シテミテイイデスカ?」
「やめときな、無粋な真似するんじゃないよ」
お登勢に諭され、通常業務に戻るキャサリンであった。
「天人夫婦に助けられたのか。それであの頃のギラついたなつきちゃんじゃなくなったのね。」
「うるさいわね。若かったのよ。あの頃は攘夷が正しいものだと信じて疑わなかった。そっちだって昔の面影ないじゃない。死んだ魚みたいな目は相変わらずだけど。」
「エネルギーを溜め込んでるんですぅ〜。いざというときにはやるんですぅ〜。」
「それにしても万事屋かぁ。楽しそうね。」
「バカヤロー。神楽の食欲のせいでこちとら命が脅かされてるんだぞ。」
「え?人を食べる天人なの・・・?」
「あーそうだ。あいつは人をも食える。」
「人は見かけによらないのね・・・・・・」
銀時の適当なジョークを信じているなつきであったが相手をしに来たお登勢のおかげでその誤解も解かれた。
「馬鹿な嘘言ってないでさっさと家賃払いな。」
「もう少しだけ待ってくださいオネーサン」