第7章 男と女 ※
ふいに離れた唇から吐息が漏れ、リヴァイがポツリと呟いた。
「何か俺、食われそう…」
「!?」
いつもの冷静な顔でそんなことを言うリヴァイに、あまりにも夢中になりすぎたのかと顔を染める。
「そんなこと…っ」
「そんなことしないって?」
「……女に言わせないでよ」
ビアンカは恥ずかしそうに口を尖らせ、リヴァイを睨んだ。
その仕草に含み笑いしたリヴァイに、続けて疑問を投げ掛けられる。
「どうしたら気持ちいい?」
「え…?」
「女に触れるのは初めてだから、わかんねぇ」
「……初めて…?」
「ああ」
「えと…、キスは?」
「キスも」
ポカンと口を開け、瞬きを繰り返すビアンカ。
(末恐ろしい……)
つい今まで夢中になっていたリヴァイとのキスが、初めてだったというのか。
本当に何をさせても器用なのだな、と内心驚きながら、チラッとリヴァイを見上げた。
「何?」
「ううん…。えっと……胸に優しく触れたりなんかすると、大抵の女の人は気持ちよくなる……と、思う…。……たぶん」
曖昧にそう言うビアンカに、リヴァイは眉を潜め不満げな顔をする。
「他の女はどうでもいい。ビアンカはどこがいい?」
胸を掴まれる思いがした。
これからリヴァイに触れられる―――体を熱くさせていくのは、その事実。
「……もう一度、抱き締めてキスして?」
黙ったままのリヴァイに、体を引き寄せられる。
ビアンカの望んだとおり、再びゆっくりとキスが落とされた。