第10章 昔話〜濵田崇裕〜 *
ただがむしゃらに踊った。
だけど踊るとやっぱり昔を思い出して
涙がボロボロ流れ落ちた。
苦しくて、辛くて。
だけど自然とその後は、
やっぱり楽しいなって思えた
淳「濵ちゃんはダンス好きなん?」
崇「好きやない。でもオトンが昔からさ、
俺のダンスカッコええって言うてくれたから」
ただそれで踊ってるだけって答えると、
淳太はふーんと頷き、
ニコニコ笑って
淳「ええやん。俺もカッコええと思うで!」
と褒めてくれた。
淳太は独りぼっちの俺に、
たくさんの幸せを教えてくれた。
笑うと自然と人と仲良くなれること。
ダンスをしてると凄いなって色んな人が、
俺の踊ってる姿を褒めてくれること。
楽しいという気持ち、嬉しい気持ち
今まで忘れてた気持ちが
淳太といたら思い出すことが出来た。
淳「なあ、濵ちゃん」
崇「ん?」
淳「俺、濵ちゃんと居ると幸せや
楽しいし優しい気持ちになれるし…なにより、
ずっと一緒に笑いあってたいって思うわ」
気持ち悪いな俺、と
照れ笑いする淳太
崇「…うん、俺もや」
淳「ほんま?なら、俺ん家おいで」
俺ん家広いし楽しいで!
そう言ってワクワクしたキラキラの目。
淳太は嬉しそうに俺を見つめた
ええのかな、俺がその綺麗な手のひらを
掴んでしまってええのかな。
突然、俺に渦巻く不安な心