第9章 BB
前を大毅と智くん、
その後ろを私と望が歩く。
望が私にこうしてべったりに
なったのは何故だっけ。
少し考えた。
望を少しでもないがしろにすると、
すぐ子どもみたいに甘えん坊になるし、
ギャーギャー騒ぐし無駄に素直だから
みんなには"ビックベイビー"と呼ばれてる。
「ねえ、望」
望「んん〜?なん?」
「私にべったりなのはなんで?」
ストレートに聞くと、望も
うーん…と考えた
望「初めてと会ったとき─────」
それはまだ幼い頃。
と初めて対面した時
緊張と恐怖で打ち解けるのに時間がかかったが
とは普通に話せるようになった。
でも小学生の頃、両親が共にいないせいで
同級生にからかわれいじめられた時
『親が居ないだけでからかうのはおかしい』
俺の目の前に立ってそう言い放ったのだ
震えて、怖かっただろうに
唇噛み締めてまっすぐ奴らを見ていた。
嬉しかった。守ってくれたことに
あのあと照史くんがすぐに来て、
その頃から強面だったから追い払ってくれたけど
望「小さい頃は、人との接し方とか
分からへんやったしすごい怖かったけど
でもさ、あの時から俺が守りたい!って思ってん」
小さな理由だけど…。
あの時の俺だったら、
たったそれだけで守りたい理由になる
失いたくない人、だから
「何も覚えてないなぁ…」
例え俺の方を見てへんでも。
望「めっちゃ前のことやからなぁ」
「そんなに前のことよく覚えてるね」
望「当たり前やろ」
当たり前だ。
との事なんやから、
俺には忘れられへんことなんや。