第8章 1つの忠告と1つの勘違い
『あ、流星くん〜!』
俺に気づいて走り寄って来たのは
なんか名前は知らんけど細身の女。
よう俺らに絡んでくるやつ
流「なに?」
見た目は派手やし、男関係も派手そうやけど
そんな外見で判断したらあかんよな
なんて、思っとったけど
この女は見た目通りで
俺だけじゃなく、望や神ちゃんにも
ヘラヘラ笑って媚び売っとる
自分のステータスとか気にしとるんやろうけど。
『ちゃん、安田くんと
付き合ったんやね〜。知っとった?』
流「それがなに。知っとるけど」
ろくでもないこと吹き込んでも
信じへんけどな!
『軽い女やね。流星くん達にちやほやされてて
告られたらすぐ付き合うやなんてさぁ』
そんなんお前らのせいやろどうせ
変なことあいつに言って、
そうせざるを得ない状況にしたんやろ。
流「鬱陶しいな、だからなんやねん」
『ちゃんなんかよりさーあ?
私達の方がええと思わへん?』
ふふ、と笑う女は
自分によほど自信があるんやろな。
流「別に、俺お前に何も感じへんし」
『え?』
流「まあ、スタイルとか顔とかええし。
付き合うのにメリットが多いかもしれんけど」
『せ、せやろ?なら…』
流「でも付き合う理由とかってそんなんちゃうやろ
そんな恋愛したいならそこら辺に彷徨いとる
男でもとっ捕まえたらええんとちゃう?」
例えば一緒にいて安心するような。
素を出して落ち着けるような居場所。
だけど時々、胸がドキドキして。
ああ、好きやなって実感する。
恋愛って、こういう事やろ?
顔がええとかスタイルが良くて、
一緒にいて羨ましがられたくて
付き合うのって楽しさとか何もないやろ?
『わ、私は…』
流「お前のせいでは傷ついてんねん
お前のなんとも無い言葉1つで一緒に居られん」
お昼も寂しいし。
帰りも楽しいけど、やっぱりどこか
物足りなくて寂しくなって。
が、必要やって実感する。