第7章 大喧嘩
ーー神山side
望「…ぃ!おい神ちゃん待てって!」
望が腕をつかみ引き止める
その勢いで振り向く
望「なんやねんさっきの」
息を切らした望が
不機嫌な顔。
「…ごめん」
望「ごめんじゃ分からんって」
今回は10俺が悪い。
流星は何もしてへんし、
勝手に俺が怒っとるだけ
しょうもない、
そう言われて頭の中とか心の中とか
ぐるぐる渦巻いてた苛立ちが爆発した
なんやねん、しょうもないって。
流星に対して抱いた劣等感を、
しょうもない?
馬鹿にしてるやんか。
望「なぁ、神ちゃん。
ちゃんと流星に言ってやらんと。
流星混乱してると思うで」
いつもの事やけどさ。と笑う。
「ごめん。今は無理」
同い年でよく学校とか一緒に居って、
必然的に比べられてきた俺ら。
背が小さい方が神山くん、
私服が派手な方が神山くん、
女の子っぽい方が神山くん、
みんなが俺を認識する時、いつだって俺は
流星より劣っている俺で。影で。
だから、に
かっこいいとか料理出来るの凄いとか、
ただ俺を1人の人として認識してもらえたのが
たまらなく嬉しくて。
特別なんかじゃなくてもええ。
神山智洋、そう認められた気がして。
だけど何だって奪うのは流星で。
ただ一緒にいることで
劣等感を抱く自分が惨めに思えて嫌いだった。