第20章 君のためと
知ってたんだ
淳太くんは、知ってて
知らないふりをしていてくれてたの?
お別れの日が来ることも
少しは予想してた
淳「けど引き取るってだけで、
一生のお別れやないやん?
ただ俺や濵ちゃんとは違ってさ、
望たちは割り切るの難しいかもしれんな」
「うん…」
淳「今は気にせえへんでええ
俺が戻ったら話するからな」
大丈夫?と最後まで
気にする淳太くんに「大丈夫」と返した。
淳「ほな電話切るわ
これから出掛けんねん、親父と」
「忙しいね」
淳「出張で来てるから使われてんねん」
嫌やわほんま、
と言いながら
またねと言って電話を切った。
虚しく鳴る通話終了音、
なんか一気に寂しくなるなぁ…
コンコン、
智「ー?起きてんのー?」
「智くん?」
そっと開いたドアの隙間から
覗く智くんが中へ入って来た。
智「だれと電話してたん?」
「淳太くん。忙しそうだったよー」
智「やっぱ忙しんか淳太くん〜大変やなぁ」
「智くんはどうしたの?」
智「なんか眠れんくてな」
智「ここで寝てええ?」
布団敷くから!と
枕抱きしめた智くんは、
急いで布団を敷き始めた。
「いいって言ってないけどな」
智「んふ、ええやん。はよ寝よ!」
こんなとき、
智くんがそばに居るなら
寂しくないかなって
私はおやすみと告げて電気を消した。