第16章 好きだと気づいて。
その日の夜、
宿題を済ましてしまって、
ちょうどお風呂上がりの淳太くんが
淳「風呂空いたから早よ入り?」
と濡れた髪をタオルで
わしゃわしゃ拭きながら顔を覗かせる。
「はーい」
淳「あ、言うの忘れるところやった」
自室の方へ歩き出してた淳太くんが
Uターンしてこちらを向いた。
淳「望が話あるって。
先にリビングに行ったり?
なんかずっと待ってたみたいやで」
「え、ほんと?」
淳「俺が1回、リビングに降りてったら
1人ソファに座ってたから聞いたら
が来るの待ってるって言ってた」
それなら呼びに来たらいいのに…
来なかったらどうするつもりだったんだろ。
淳「あいつも勇気出してんねん。
もちゃんと聞いてやってや」
おやすみ、と去ってく淳太くんは、
相変わらず望には甘いというか…
ほっとけないんだろうなあ…
淳太くんに言われた通り、
お風呂に行く前にリビングに行くと
望がうとうとしながらソファーに座っていた。
「望」
名前を呼ぶと、
一気に目が覚めたのかバッと顔をあげて
こちらを向く。
望「あ、と…あの…」
「話があるって、聞いたから」
そう言うと、
ああ…淳太か…と
小さく呟いたあと深呼吸。
望「ごめんっ!!!」
意を決したように、
大きな声で叫んで頭を下げた。
びっくりしたけど、
微かに手とか震えていた。