第13章 昔話〜小瀧望〜 *
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どれくらいやろ、かなり歩いた。
日が暮れて街ゆく人はみんなサラリーマンとか
仕事帰りの人たちで
どこか隠れなきゃ、
そう思って人気の少ない公園に入った。
お腹空いたな。
前はお腹すいたって、
全然平気だったのにな。
体は正直、お腹が鳴る
?「パンでも食べる?」
上から降ってきた声に顔を上げる。
「…りゅ、せい…」
流「何してんねん、心配したんやぞ」
ほらやる、と
放り投げられたパンは、
俺の大好きなパン
オカンがいつもお金無くても
安いからとよく買ってきたパン。
覚えてたんや…
流「寂しくなったん?」
「別に…」
流「じゃあなんで家出したん?」
「関係ないやん流星には」
優しくなんかすんな。
その無意味な優しさが、
俺の心をえぐるねん
そうして苦しくなって泣きたくなんねん。
「もう、1人で生きてくねん」
俺のせいで誰かを苦しめたくない。
オカンみたいに自己犠牲して、
離れていかんでほしいから
流「どこ行くねん」
「関係ない言うてるやろ」
流「望!」
腕を掴まれ引き止められても、
ただ俺は苛立ちをぶつけるように
強くその手を振り払った。
泣きたくなんかないのに、
目から勝手に涙が出るし
どうしてかぎゅっと苦しくなる。
「離せや!!」
流「帰ろうや、淳太たちのところ」
な?とそれでも歩み寄る流星を
また俺は拒絶して
どん、と突き飛ばした。