第13章 昔話〜小瀧望〜 *
小学校に転校するのに手続きに
手間取っていたため俺は家でお留守。
だだっ広い家の中は怖くて
外へふらっと出た。
近くに公園があったから
そこに行くと、
家族連れの子がたくさんで。
やっぱり寂しくなった。
「俺、なんで1人なんやろ」
オカンが居なくなって、
俺もこのままいなくなるんかなぁって
薄らぐ意識の中で思ってた。
オトンはおらんかったし、
助けを求める人も周りにおらんかった。
だから寂しさなんてなくて。
オカンがおらんくなった、
俺はこれから1人なんやなって
じわじわ実感したのだ。
淳太くんに引き取られたって、
それはただの同情に過ぎなくて
俺のことなんか嫌いに決まってるんや
1人で生きていかんとあかんねん
この時の俺はそう思っとった。
ほんまにちびでガキの俺が
無理に決まってんのに、
どこか空回りした思いだけ。
「どっか、遠くに」
拳にぎゅっと力を込め、
ゆっくり歩き出した